TRIO 9R-59D受信機を再生する ― 2021年11月16日 11:54
9R-59Dとは、TRIO(現Kenwood)が1975年ごろに販売していた、アマチュア無線用の受信機です。まだまだ、真空管が現役で活躍していたころのもので、AM検波や整流回路にダイオードが使われていて、主要部分は真空管です。
手持ちの9R-59Dは、ずいぶんと長い間、中途半端にばらした状態で放置していました。オイルコンデンサーや電解コンデンサー、値の変化してしまった抵抗などを 交換する予定だったみたいです。部品の有無を確認すると、ほぼそろっていましたので、この機会に組み立てることにしました。組立説明書に掲載されているマーカー発信機も組み込みました。
配線ミスがないかを確認し、電源オン。異常がないことを確認。煙もでずスピーカーからノイズが聞こえてきたので、あとは調整だけで済みそうです。
調整中に見つかった不具合の対処を行いました。最終的な姿は、
シャーシー上面はこんな感じ。
不具合の対処については、次回に報告します。
TRIO 9R-59D受信機を再生する -- その2 IF段の調整で早速トラブル発生 ― 2021年11月25日 12:18
まずは、Sメーターのゼロ点を調整しときます。
AF GAINのボリュームの真ん中の端子に指を触れると、ブ~とノイズが出るので、。低周波段が問題ないようすなので、IF段の調整を開始。IFTの同調周波数がどこらへんかわからないので、IF2段目のV6 6BA6から調整することに。
V5のG1に0.01uFを介して信号をいれ調整開始。信号源はtinySAを使用。IFTのコアを調整棒で回そうとしても固くて回りません。ベークライトの棒の先を削って自作の調整棒を作ってトライしても回らない。コアを壊しそうだったので、調整中断。IFTを取り外してみると、樹脂製のボビンの先端が少し変形してる。ボビンが硬化し縮み、コアを固定してしまっているようです。
同等のIFTがあったので交換。これで調整ができました。
同様にしてV4のG1に信号を入れてMF2を。そして、V2のG1に直接信号を入れてMF1を調整。
音を出して調整していたら、家人から「うるさい」とのクレームが。こんなダミーロードを作って音なしで調整することに。
中身は、抵抗一本です。
お次は、トラッキング調整です。Aバンド(550KHz-1600KHz)、Bバンド(1.6MHz-4.8MHz)、Cバンド(4.8MHz-14.5MHz)は、簡単にトラッキング調整ができたのですが、Dバンド(10.5MHz-30MHz)は、うまく調整ができません。13MHzでコアを、26MHzでトリマーを 調整してダイアルを合わせるのですが、26MHzに合わせることができません。約500KHzほど低い位置になってしまいます。原因は不明です。 あとで追及することにしました。
とりあえず、受信できるようになったので、数メートルのビニール線アンテナを接続してみたところ、適当に放送が聞こえてきました。
ここまでで、いくつか不具合を見付けました。
- AF GAINを反時計方向に絞り切っても放送の音声が聞こえる。
- 音声にハムが混じる。
- ヘッドフォンをつないで電源を入れると、すぐさまハムが聞こえ出す。
- 前に続いて、真空管が温まって動作し始めると、別のハムが聞こえ出す。
- あまり音質がよろしくないので、V7aとV8にNFBをかけたい。
- トラブルではないが、OSC V3の半分が余っているので、OSCのバッファーを追加したい。
これらの件の対策は、次回、報告します。
TRIO 9R-59D受信機を再生する -- その3 不具合対応 ― 2021年11月26日 18:33
前回までに、いくつか不具合を見付けました。
- AF GAINを反時計方向に絞り切っても放送の音声が聞こえる。
- 音声にハムが混じる。
- ヘッドフォンをつないで電源を入れると、すぐさまハムが聞こえ出す。
- 前に続いて、真空管が温まって動作し始めると、別のハムが聞こえ出す。
- あまり音質がよろしくないので、V7bとV8にNFBをかけたい。
- トラブルではないが、OSC V3の半分が余っているので、OSCのバッファーを追加したい。
これらです。順序が変わりますが、簡単なところから解決していきます。
まずは、AF GAINの不具合から。反時計方向に回し切って、グランドと摺動子の間の抵抗値を測ると、なんと1KΩ近くありました。即刻、交換。AF GAINを反時計方向に回し切ると、音声は聞こえなくなりました。しかし、ハム音は聞こえます。
次は、V7b 1/2 6AQ8とV8 6AQ5にNFBをかけることに。回路はこのように変更します。
まず、V7 6AQ8回りの基板の加工をします。R31 1KΩのグランド側のパターンを切って、R31をグランドから浮かします。C33 30uFを取り外してR31の上に2階建てにしました。こんな感じです。
基板の裏でR31とグランドの間に、220Ωをはんだ付けします。こんな感じです。
OPTの8Ω出力と220Ωの間に2KΩを取り付けます。空いていた立ラグに取り付けて配線しました。
で、動作確認。見事に、「ぼ~~~」と発振しました。正帰還になっていますので、OPTの一次側の配線を入れ替えて、再度、確認。今度は正常に音声が聞こえました。聞いた感じでは、「少しは、よくなったかな」程度の改善でした。ここは、気分の問題ですね。
使っていないV3b 1/2 6AQ8を使って、OSCのバッファーを追加しました。回路はJR-60を参考にして、このようにしました。
配線は、V3 6AQ8のソケット回りがごちゃごちゃしてしまいましたが、何とか完成。
効果は、ミクサー V2 6BE6の第一グリットに注入されるOSC電圧が下記のようになりました。
BAND | 改造前(Vp-p) | 改造後(Vp-p) |
---|---|---|
A | 0.48 | 0.64 |
B | 0.34 | 0.48 |
C | 0.16 | 0.22 |
D | 0.07 | 0.12 |
音声に混じるハムは、低い音と、それより高めの低い音があります。
低い音は、電源スイッチを入れたとたんに聞こえだすことから、電源トランスが作る磁界をOPTが拾ってしまうようです。その証拠に、V8 6AQ5を引き抜いても聞こえます。
高めのハム音は、B電源のリップルに起因するものです。これは、V7b 1/2 6AQ8とV8 6AQ5のB電源に、トランジスタを使ったリップルフィルターを入れました。
このように組み立てました。トランジスタはケミコンの陰に隠れて見えません。
効果は絶大です。高めのハムは殆ど聞こえなくなりました。当然、低いハムは、相変わらず聞こえます。この対策は、OPTを電源トランスから離すか、電磁シールドで覆うかしかないようです。対応策をじっくり考えてから、改造をします。
宿題が残りましたが、ここまでで一区切りとします。もうじき、発注しておいたマーカー用の水晶、3500KHzと500KHzが届きますので、マーカー発信回路の確認などを先にしようと思います。
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